対面でマダミスを回すとき、「証拠品の紙を本当に汚してみようか」「手紙を封蝋してみようか」と考え始めると、沼にハマったことはありませんか?

物理アイテムはプレイヤーの没入感を一気に引き上げてくれる強烈な武器ですが、作り込みすぎるとGM側の時間と予算が吹き飛びます。今回は、対面マダミスの証拠品をどこまで作るべきかという話を、コスト感と合わせてまとめていきます。

古びた封筒と蝋印

物理アイテムが持つ「情報の重み」

PDFでハンドアウトを配るのと、印刷した紙で手渡すのとでは、プレイヤーが受ける情報の重みが明らかに違います。

手で持てる、めくれる、回覧できる。それだけで「これは本物の証拠だ」という感覚が生まれます。私がGMをやった中で、一度だけ「和紙に筆書き風フォントで印刷した遺書」を出したことがありますが、プレイヤー3人が無言でその紙を回し読みしている時間は、BGM以上の演出効果がありました。

物理アイテムは、要するに 「手触りという追加レイヤー」 をシナリオに載せる行為なのです。

作り込みの3段階:時間とコストの目安

私は対面シナリオを準備するとき、物理アイテムを次の3段階に分けて考えています。

レベル1:印刷物の質を上げる

  • 普通紙ではなく、少し厚手のマット紙・クラフト紙を使う
  • キャラクターごとに紙の色を変える
  • コストは数百円、時間も数十分

レベル2:「加工」を加える

  • 紙の端を軽く焦がす、茶色く汚す
  • インクでにじみや染みを作る
  • 封筒に入れてシールを貼る
  • コストは千円前後、時間は1〜2時間

レベル3:立体物・小道具を用意する

  • 写真を現像してアルバムに入れる
  • 小瓶・鍵・名刺などのプロップを用意する
  • 地図をラミネート加工する
  • コストは数千円〜、時間は数日分

古い鍵

コスト管理の鉄則:「1回分に回収できる範囲」を超えない

対面マダミスの物理アイテム沼でやりがちなのが、「1回しか遊ばないシナリオに、何時間もかけて高級な小道具を作ってしまう」 ことです。

私は一度、身内用に作ったシナリオの小道具に合計5,000円ほど投資してしまい、結局その卓1回で出番が終わったことがあります。その経験から、次のようなルールで物理アイテムを管理するようになりました。

  • 何回回す予定のシナリオか を先に決める
  • 1回あたりのコストを概算し、時給換算しないように注意 する
  • 流用可能な汎用プロップ(古風な封筒、万年筆、小瓶など)は別予算枠で管理する

特に3つ目が重要で、「このシナリオ専用」ではなく「今後のマダミスで使い回せる資産」を意識して買うと、長い目で見ると一個あたりのコストはずっと下がります。

「作らない勇気」も同じくらい大事

物理アイテムは、あればあるほど没入感が上がる、という単純な話ではありません。

机の上が小道具であふれていると、プレイヤーは「これは重要な手がかりか? ただの雰囲気づくりか?」の判別で疲れてしまいます。私は最近、「明確に推理に関わる3〜5点だけを物理化し、それ以外はテキストで済ませる」 というラインを自分ルールにしています。

全部を物理にせず、「ここぞ」の一点に物理アイテムを集中させるほうが、結果として演出としての切れ味が上がる感覚があります。

まとめ

対面マダミスにおける物理アイテムは、没入感のブースターとしては最強クラスの武器です。

ただし、時間と予算は無限ではありません。「何回回すか」「どこに物理化を集中させるか」の2点を先に決めるだけで、作り込みの方向性はかなり健全になります。次のシナリオ準備では、紙を一枚選ぶところから「これはいくらかけるべきか」を考えてみてください。