マダミスを遊んだあとに、「このキャラのHO、他に比べて薄くない…?」とプレイヤーから言われてヒヤッとした経験はありませんか?
マダミスの面白さは「情報格差」から生まれます。しかし、その格差の設計を間違えると、一部のプレイヤーに「自分は脇役だった」という感覚を残してしまいます。今回は、HO間の情報格差をどう設計するかという話を、具体的な調整術とセットでまとめます。

情報「量」と「重要度」は別物
まず大前提として、HOにおける 「情報の量」と「情報の重要度」はまったく別の軸 です。
- 文章量は多いが、事件の真相には直接絡まないHO
- 文章量は少ないが、犯人特定のカギを握るHO
- 文章量も重要度も高い「中心キャラ」のHO
- 情報はほぼないが、議論を引っかき回す役割を持つHO
この2軸でキャラを配置すると、「量」でのバランス調整と「重要度」でのバランス調整を別々に考えられる ようになります。私が初期にやりがちだったのは、全員のHOの文章量だけを揃えて満足してしまう、というパターンでした。結果的に「長いけど中身のないHO」が生まれ、プレイヤーの満足度が下がるのです。
不公平感が生まれる典型的なパターン
私がテストプレイで指摘された「不公平感」の多くは、次のいずれかのパターンに当てはまっていました。
- 一人だけ情報量が極端に少ない:議論で発言できるネタがない
- 一人だけ勝利条件が非現実的:他のキャラに比べて明らかに達成困難
- 一人だけ「自分の物語」がない:事件の傍観者としての役割しか持たない
- 一人だけ議論で「正解」に近すぎる:推理ゲームとしての緊張感が失われる
情報格差の設計で一番恐ろしいのは、「面白くない役割」を誰か一人に押し付けてしまう 状態です。
HOごとの「満足ライン」を揃える
不公平感を減らすために私が意識しているのは、「情報量」ではなく「満足ライン」を揃える という考え方です。
満足ラインとは、「そのキャラを演じた人が、終わったときに何をもって満足できるか」という基準です。
- 真相にたどり着いた達成感で満足するキャラ
- 自分の隠し目的を達成できれば満足するキャラ
- 相手役との感情のやり取りで満足するキャラ
- とにかく場を引っかき回せれば満足するキャラ
全員が「同じ種類の満足」を得る必要はありません。ただし、「何かしら満足できる軸」が全員に用意されているかどうか は、設計者が責任を持ってチェックすべき部分です。

調整術:「情報の重み付け表」を作る
具体的な調整作業として、私は自作シナリオを組むとき、必ず次のような表を作ります。
- キャラ名
- HOの文章量(目安の文字数)
- 持っている「決定的情報」の数
- 持っている「誤情報・思い込み」の数
- 目的(勝利条件)の達成難易度(1〜5)
- 議論での想定発言量(多・中・少)
この表を俯瞰すると、「このキャラだけ全項目で下位」 のようなキャラが浮き彫りになります。その場合は、情報を1つ足すか、ユニークな立ち回りを1つ与えるか、どちらかの調整をします。
「情報量が少ない役」には「特別な権能」を渡す
どうしても情報量が少なくなってしまう役割のキャラには、情報以外の「権能」を渡すのが有効です。
たとえば、
- 1回だけ使える「強制質問権」
- GMから追加情報を引き出せる「調査権」
- 他のプレイヤーに嘘をつかせない「真偽判定」
- 議論の流れをリセットできる「一時停止権」
こうしたメカニクス的な権能は、情報量の少なさを「役割の独自性」に読み替えてくれます。プレイヤーは情報量が多いから満足するのではなく、「自分にしかできない立ち回り」があるから満足する のです。
まとめ
HOの情報格差は、マダミスの面白さを生む本体であると同時に、不公平感の主原因にもなります。
量ではなく「満足ライン」を揃えること、決定的情報と誤情報のバランスを表で俯瞰すること、情報が少ない役には権能を渡すこと。この3つを押さえるだけで、全員が「自分の物語だった」と言えるシナリオに近づきます。